主として熱帯起源のラン科植物及びその交配品種のこと。その趣味が欧米経由で日本に入ったことから、この名がある。おおむね、大輪で派手な花をもってよしとする。
ヨーロッパにおけるラン栽培は、ほぼ18世紀に始まった。このころ、世界各地の品物とともに多くの植物がヨーロッパに持ち込まれ、園芸用に栽培された。熱帯産のラン科植物も、様々なものがヨーロッパに持ち込まれた。当時は温室などが普及しておらず、それを手にするものは少なかったが、やがて栽培技術の向上とともに広く親しまれるようになった。世界各地の熱帯から、新しい種が導入されるとともに、交配によって多くの園芸品種が作られた。19世紀にはアメリカにも導入され、ハワイで洋ラン栽培が一つの産業として定着するに至った。現在では、熱帯の各国で生産が行われている。
日本には明治の頃に持ち込まれ、当時の華族や皇族の間で広まった。当初は株分けによる遅々とした増殖しかできず、栽培にも高価な温室が必要で上流階級の趣味か、せいぜい専門業者による高級切り花として販売されるに留まった。その後メリクロン法などの大量増殖の開発、密閉性がよく家庭内暖房の効いた住宅の普及、無菌播種法による交配、品種改良の効率化などによって一般にも広まり、庶民にも普及した一つの園芸のジャンルとして定着している。
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なお、中国でははるかに古い時代から士大夫など教養人の高尚な趣味として、温帯地上性の小型のシンビディウム属のラン科植物を栽培することが行われ、突然変異個体の選抜による様々な品種が栽培されていた。それらは日本にも伝えられ、中国伝来及び日本に自生するシュンランやカンランのような温帯性シンビディウム属のランに加え、フウランの変異個体の品種群である富貴蘭、及びセッコクの変異個体の品種群である長生蘭とともに東洋ランという違ったジャンルを形成している。
洋ランと言われるものは、ほとんど世界中の熱帯地方からもたらされたものと、それらを交配して得られた園芸品種によって構成されている。シンビディウム属の一部やパフィオペディルム属などを除くとその多くが着生植物であるため土に植えるには適さないものが多く、栽培には鉢植えの場合はミズゴケ、樹皮チップなどが、自生状態と同じ着生状態での栽培にはヘゴ板、コルクの未加工の樹皮などが用いられる。
代表的なものを以下に記す。特に、カトレヤ・パフィオペディルム・デンドロビウム・シンビディウムの四属が有名で、これらを四大洋ランと言うこともある。近年はコチョウランとバンダも普及が進んでいる。